都市計画論文集
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街路樹のまちづくりへの影響に関する研究
福岡市赤坂けやき通りを題材に
高尾 忠志樋口 明彦
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2005 年 40.3 巻 p. 601-606

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抄録
我が国における街路樹整備は道路緑化から都市緑化へ、行政管理から官民協働管理へと広がりをみせつつあるが、基本的な位置づけは道路付属物の域を超えるものではない。本論文では、文献調査とヒアリング調査から福岡市赤坂けやき通りの歴史的変遷を調査した。その結果偶然に植えられた街路樹であるけやきが、地域のシンボルとなり、五十年後にはコミュニティ再生の中心として機能していることがわかった。道路整備時には、単に緑化を目的とした道路附属物としての街路樹整備ではなく、数十年の長いスパンでの地域づくりを念頭に置き、地域イメージの中心となる街路樹を整備していくことが求められる。特に、道路整備に伴い地域のコミュニティが弱体化することが問題視されるケースには、街路樹がコミュニティの中心となりうる効果を、地域づくりの観点からは沿道地域の資産価値を高める効果も見逃すことはできない。このような街路樹の持つ効果を道路整備および改良時に取り込んでいき、より効果の高い道路整備を行なっていくためには、道路管理者と沿道地域の住民や都市計画部局との一体的な計画づくり、設計、管理を行なっていくことが重要であると考える。
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© 2005 公益社団法人 日本都市計画学会
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