抄録
韓国の市場は現代的商業の発展と施設の老朽化などによって衰退している。このような市場は多くの小売店が密集し、一つの領域を形成している。従って多様な立場の商人が共存している。このため市場は空間的には一つの領域であるが商業的には一つの商業空間として運営することが難しくなっていて、商業的戦略性を持つとか環境改善および活性化を図ることを防いでいる。本研究は市場領域が均衡的・主体的に持続していくための有益に知見を得ることを目的とする。このため文献調査による市場の場所的な特性をまとめ、蔚山市の全ての市場に対して、観察調査による市場の領域形成および空間構成の特性と、商人および組織へのヒアリング調査による市場の運営管理の組織の構造特性を明らかにした。その結果、市場は現代的な商業空間とは異なる公・共的な場所性を持っていることと、蔚山市の市場は建物型市場、沿道店舗、露店という空間構成要素 3つが全て共存した領域が最も多いことが分かった。また、市場の運営管理における組織構造は似た空間構成でも多様であり、権利関係によって構成員を分けない組織構造が市場領域の均衡的・主体的な運営管理を可能とすることが分かった。