抄録
本研究では、違法駐輪の撤去活動レベルが異なる鉄道駅前地区を複数抽出し、自転車利用者に対するアンケート調査を実施して、地方自治体による撤去活動レベルが違法駐輪行動の選択に与える影響を検討した。その結果、自転車利用者は返還料を正確に認知し、撤去回数もある程度正確に認知している。撤去回数の認知は、路上駐輪利用者と駐輪場利用者とで異なる傾向があり、後者の方が認知が曖昧で、撤去回数の少ない側に偏っている可能性がある。路上駐輪利用者は駐輪場利用割合を小さめに認知し、駐輪場利用者は駐輪場利用割合を正確に認知している。自転車利用者の駐輪場利用割合の認知自体は、協力行動開始割合との相互関係において違法路上駐輪行動の選択に影響を与えている。鉄道駅前地区へのアクセス交通手段選択モデルの推定より、自転車利用者による撤去活動レベルと駐輪場利用割合に対する認知が、アクセス交通手段選択行動に影響していることが示された。