抄録
近年、フランスにおいては住民参加に関する制度が急激に整備されているところである。本研究は、住民参加制度のひとつであり、計画案策定段階での合意形成手法であるコンセルタシオンに着目し、フランスの広域都市計画であるSCOTにおける合意形成手法を明らかにすることを目的としている。フランスの住民参加制度におけるコンセルタシオンの位置づけと仕組み、SCOTの策定プロセスを明確にした上で、ストラスブール都市圏のSCOT策定を事例として、合意形成手法の実態を把握した。その結果、議員や専門家など特定の者を対象にした委員会やワークショップ等で素案を作成し、それをもとに、不特定多数を対象にした公開討論会等で情報を提示し意見を求めるといった一連のプロセスの中で調整を図りながら計画策定が行われていることが明らかとなった。