2006 年 41.3 巻 p. 1025-1030
本研究では、愛知県常滑市の散歩道地区を対象として、小さな店舗集積の形成を可能とした条件を明らかにする。明らかとなったのは、1)散歩道地区には景観的なまとまりをもつ3~9軒の小さな店舗集積が複数箇所に形成されていること、2)地縁・職縁共にない店舗経営者が散歩道地区へ出店を決めた条件として、散歩道地区が人通り・集客性・街の魅力などの面で有利と判断される状況にあること、3)起業・地区参入段階に散歩道地区に出店を促す介在者がいたこと、4)店舗出店の受皿としての空き工場が散歩道地区内に分布していたこと、5)物件選定段階において特定の物件に店舗経営者を紹介斡旋する家主や介在者がいたこと、6)その結果として、小さな店舗集積の形成が可能となったこと、である。