本論文では,日本国内における観光行動に焦点を当て,周遊を明示的に取り扱ったモデルを構築する.具体的には非集計ロジット・モデルを用いて,旅行者の観光地選択行動(すなわち旅行プランの決定プロセス)を定式化する.このときに,1つ以上の観光地に立ち寄るような旅行プランも選択肢に加えることによって,周遊の概念をモデルに組み込むことを試みる.このような複数の目的地を持つ周遊行動の分析には,様々な先行研究が存在する.しかしながら,実際の調査資料を用いた実証的研究は,現段階では不十分である.そこで,本論文では生活圏単位の詳細な国内旅行流動データを基に,旅行者の観光周遊行動の再現を目指す.