2006 年 41.3 巻 p. 25-30
モータリゼーションや自動車依存型の都市構造によって引き起こされる交通渋滞や環境問題等を解決するためには公共交通の利用促進が不可欠である.本研究は,ポイント制度を公共交通利用に対して適用した,新たなTDM施策である「交通エコポイント」について,名古屋市にて行われた社会実験の概要およびその結果を報告する.さらに,望ましい交通エコポイントシステムに関する知見を得るために,市民が望むエコポイント施策のサービスレベルについての分析を行った.社会実験の結果から,交通エコポイントにより交通行動が変化し,また,参加者の受容性は極めて高いことを確認した.サービスレベルに関する分析では,何らかの還元サービスは必要であるが還元率はそれほど重要ではなく,また,自治体による環境活動の代行など,交通エコポイントを通じて環境改善に貢献することを望んでいることなどが明らかとなった.