都市計画論文集
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自主条例の景観法に基づく景観条例、景観計画への移行実態に関する研究
神奈川県内の自主条例を有する景観行政団体を事例として
秋田 典子
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2006 年 41.3 巻 p. 313-318

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抄録

本研究は、神奈川県内の自主条例を有する自治体のうち、2006年4月末までに景観法に基づく景観条例及び景観計画の原案の策定が終了している自治体を対象に、自主条例に定めた開発の基準等が景観法に基づく景観計画及び景観条例にどのように移行されているかを明らかにすることにより、景観法に基づく開発コントロールの可能性と課題を考察することを目的としている。分析の結果、1)自主条例に位置づけられた開発の基準や届出対象は概ね景観計画・条例に反映されているが、自治体の景観法活用の目的や戦略により独自に対象の追加や削除が行われていること、2)景観法が自治体の多様な景観形成の要求に柔軟に対応しうる制度であること、3)大規模な自治体では景観条例に基づく開発コントロールにおいて量か質のいずれかを選択せざるを得ないこと、4)規制の基準が数値等の客観的基準で明示可能な色彩等に対象を限定するタイプと抽象的な文章で幅広い項目を対象とするタイプの二極化が見られること、5)景観計画・条例を制定しても開発協議の手続きや社会的圧力の確保のために自主条例が必要になることが明らかになった。

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© 2006 公益社団法人 日本都市計画学会
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