都市計画論文集
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高解像度都市緑被モニタリングによる都市内小規模緑被の分布把握とチョウ類を指標とした生態系ネットワーク機能の評価
横田 樹広武内 和彦
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ジャーナル オープンアクセス

2006 年 41.3 巻 p. 361-366

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抄録

都市域における小規模緑被分布の生態系ネットワーク機能を明らかにするため、緑被の空間的分布特性の指標を算出し、チョウ類を指標とした生物出現状況との関係性を把握した。2_m²_以上の都市内小規模緑被について、植生タイプごとの集塊度,異なる植生タイプの隣接長,植生タイプからの距離,植生タイプの多様性の4指標を算出し、出現したチョウ類の種タイプの組合せ(草原性のみ,草原性+林縁性,樹林性出現)との関係を分類・回帰木により分析した。その結果、生態系ネットワーク機能評価において、種タイプの幅への影響が大きい樹林性チョウ類の出現の有無が評価の指標に有効と考えられた。樹林性チョウ類の出現は、広域の落葉樹林面積に依存しており、緑被分布特性として、小規模領域での落葉樹林と常緑樹林・草地の混在による植生のモザイクが寄与することが示された。また、草原性種,林縁性種を含めた種タイプの幅には、小規模距離圏での草地の集塊度や広域での植栽木・竹林の集塊度が寄与しており、生態系ネットワーク機能の向上において、まとまった落葉樹林・竹林の保全や隣接市街地での植栽整備等が有効と考えられた。

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© 2006 公益社団法人 日本都市計画学会
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