近年、都市再生に対する都市ツーリズムの有効性が認識され始めた。一方で、情報化社会を背景に、人々は都市の点の情報を媒体から得ることが日常的になった。人々と都市情報との接点が増えていく状況を都市ツーリズムにうまく利用して、人々が都市の点に注目するだけではなく、その点を取り巻く都市全体に関心を展開することができれば、それは都市へのなじみにつながり、都市再生に寄与しうると考える。本研究では、地区特性と点情報との関連性から、大阪市の北船場地区の飲食店情報を事例として、人が地区に関心を持って歩いてみたいと思えるような点情報のコンテンツのあり方に関する提言を行うことを目的に研究を行った。ガイドブック及び地域情報誌の地区特集を用いた文献調査からは、飲食店集積を示す地区特性が多く取り扱われており、特集内の飲食店情報との関連性も高いことが明らかになった。しかし、アンケート調査からは、人々が飲食店以外の商業要素、建築物、歴史要素の集積を示す地区特性を認識している上でその地区特性と関連性のある魅力が飲食店情報に記載されているときに、飲食店情報が地区への関心に有効に機能することが明らかになった。