抄録
近年、オリンピックやサッカーワールドカップなど、国内での大型スポーツイベントの開催が目立つ。これらスポーツイベントによる効果は様々だが、施設整備や交通基盤強化など、都市の形勢にも多大な影響を与える。しかし、こうしたイベントに伴う施設整備は、大会後の運営悪化により多額の負債をもたらす場合も少なくない。そこで本研究は、スポーツイベントに伴う施設整備のあり方を、地域財政に与える影響と地域住民への有用性の観点から明らかにすることを目的とする。具体的には国体に伴い進められた施設整備の実態を調査し、自治体の認識・地域財政に与える影響から、イベントによる効果を検証するものである。本研究をまとめると1.国体の会場地は開催要項を基に都道府県が主体となって決定される。しかし、市町村の希望や環境条件の他、各競技団体の影響力が大きく、施設内容の決定にも大きく関与する。2.国体施設は、利用者数が多いものの自立運営が難しい多用途施設と、利用者数が少ないものの自治体の負担が少ない専門施設に大別される。また、現在整備されている施設の多くは赤字経営であり、建設時の負債を含めて多額の財政負担を受けている。