2007 年 42.3 巻 p. 175-180
2003年に指定管理者制度が導入され,現在多くの都市公園で民間事業者による管理運営が行われている.都市公園は様々な活動を伴った市民参加による管理が望まれているが,新たに参入した民間事業者はこれまで市民との連携による管理の経験が充分とはいえず,市民側にも民間事業者に対し不安感を抱いていることが指摘されている.このような中,民間事業者は幅広い市民参画のもと,円滑な公園管理を推進するため市民グループと良好な関係を築くことが必要である.そこで,本研究は民間指定管理者と公園内で活動する市民グループの関係の現状を体系的に把握し,市民グループの民間事業者への評価を加味して,両者が良好な関係を結ぶにあたって役立つ民間指定管理者の取り組みの方向性を明らかにした.その結果,民間指定管理者は市民グループとの関係性から3つのタイプに分類でき,また民間指定管理者の取り組み意識と市民グループの評価にもややずれがあり,両者の意識の差を埋めるべく,管理の段階に応じて行政を含めた3者が積極的に意志疎通を図ることが重要であるとわかった.