都市計画論文集
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ドイツ・ノルトライン-ベストファーレン州における市街地再生プログラム「社会都市Sozial Stadt」の運用と地区マネージメントの役割
室田 昌子
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2007 年 42.3 巻 p. 325-330

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抄録
本論文は、ドイツの市街地再生プログラムである「社会都市」に着目し、なかでも先進事例と言われるノルトライン・ベストファーレン州を対象に、30地区の地区の特徴、問題とその構造、実施したプログラムの内容、地区ビューローの設置状況を把握した。経済衰退を発端とした構造的な問題を抱え、多分野にわたる総合的なプログラムを実施し、特に雇用・経済対策、コミュニティ活性化策、居住環境改善策が充実している。多分野の事業を総合的に実行する手段として多くの地区で、地区マネージメントを行う現地事務所として地区ビューローが設置されていた。行政設置タイプと登録協会設置タイプの2地区について、地区マネージメントの役割を把握したが、行政の部局と地区の住民や団体を結び、かつ住民や団体同士を結び、住民のネットワーク化や調整、協力体制づくり、住民活動の活性化を図る役割を持っているが、事業の実施や支援については、地区による、または設置者による違いがある。ハード事業とソフト事業のバランスをとりつつ総合的に進めることが「社会都市」の理念であるが、どちらかが中心となりがちで、2つの地区を見る限りバランスの難しさが指摘できる。
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© 2007 公益社団法人 日本都市計画学会
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