抄録
2002年より実施されている構造改革特別区域制度の10次にわたる提案を対象として、都市計画法と建築基準法に関連する特区提案の内容と、国と提案主体との検討プロセスを分析し、特区提案を通した都市計画・まちづくり分野の「構造改革の要望」を明らかにすることにより、規制緩和や地方分権の進展に関する論点を明らかにする。具体的には、特区制度の成果の概要を解説した上で、全提案における都市計画法と建築基準法に関連する特区提案の法令条項別の提案件数と判定をまとめ、提案の内容と判定にいたる応答プロセスを明らかにする。結果として2つの法律とも特区提案の実現が少ないこと、提案内容を見ると、社会経済状況変化や新しいニーズ・課題を背景とした、適地性、迅速性・機動性といった観点からの要望が多いこと、応答プロセスからは、国が技術的な助言を示すことの意義、広域性の担保、事前明示性の担保が論点となっていることが明らかになった。