抄録
近年、まちづくりに住民の意見を取り入れるだけではなく、参加や主体的な運営が期待されるようになってきている。住民の地域への参加や関わりをいったい何が左右しているのか、その構造を明らかにすることは今後のまちづくりを進める上で重要な課題である。ちなみに、社会や地域に対する信頼関係と住民活動・参加の関連を一種の地域資本としてとらえたソーシャル・キャピタルという概念が以前より提示されており、この課題を考究する際にキーとなる概念といえる。これまでのソーシャル・キャピタル研究では、その測定指標は様々であり、統一されておらず、計測結果についても様々な見解が存在しており、実態は明らかでないという問題がある。そして、ソーシャル・キャピタルとまちづくりの関連性については十分に明らかにされておらず、実際のまちづくりにおいて、ソーシャル・キャピタルがどのように影響するのかについては研究されていない。そこで本研究では、倉敷市民1万人を対象としたアンケート結果から、個人の参加実態と今後の意識について調査し、多変量解析を通じてその形成にかかる構造を把握する。