抄録
北海道の小規模自治体の中に、「山村留学」によって地域の活性化を目指す動きがある。これは、留学生の受け入れる小学校校の問題として捉えられがちである。しかし実際は、市町村の支援の基で地域住民が参加する団体が運営している。つまり、地域全体の取り組みとして理解するのが適切である。従って、廃校の防止等という住民が共有しやすい目的のもとに活動を継続することは、地域社会を活性化させる一手法に成りえる。本論では、主に地域社会との関係から、北海道での山村留学の運営の実態を検証し、以下を明らかにした。(1)山村留学を存続させるためには、受け入れ体制と生活支援の強化が直接的な課題である。(2)山村留学を、留学生と地域社会の両者にとって有効なものにするには、留学プログラムの質の向上が必要である。これによって住民の山村留学に対する意識が向上すると、長期的には、(1)の解決にもつながる。