本論文は石川栄耀による都市計画の基盤理論の探求の特徴を把握することを目的としている。石川の主著書である『都市計画及び国土計画』は1941年に初版が出版された後、1951年に改定版、1954年に新訂版が出版された。先ず、初版出版に至るまでの過程の分析により、石川が都市計画の基盤理論構築のための都市学の確立を強く望んでいたことが明らかになった。石川は『都市計画及び国土計画』では、独自の基盤理論である「都市構成の理論」で都市計画を体系化してみせたのである。また、2度の改訂内容の分析からは、石川が「生態都市計画」と呼んだ新しい都市計画の姿を目指して、「都市構成の理論」に都市動態の理論を組み込もうとしていたことが明らかになった。こうした都市計画の基盤理論を探求する姿勢は、石川の同時代の誰よりも先進的であり、かつ現代的意義も有している。