抄録
本稿は、古典的なハフ・モデルによる圏域設定に対し新たな考察を行ったものである。線分状の都市に立地する2つの施設が、確定的に解釈したハフ・モデルにもとづき圏域を分割するという設定において、当期の圏域の大きさが次期の施設規模に反映されるという「再帰的過程」と、施設の立地点が端点に限らないという意味での「後背地の効果」を組み入れたモデルを開発した。このモデルの挙動を検討した結果、大局的には「距離抵抗係数が減少するほど一極集中がおこりやすくなる」という一般的な傾向が確認されたが、一方で、最初小さな施設が「逆転」して拡大する現象や、距離抵抗の小さい場合でも2つの施設が「共存」するケースなど、後背地のある場合に特徴的な傾向が新たに見いだされた。