抄録
わが国の都市圏において、交通実態を把握する主な調査として、パーソントリップ調査が挙げられる。1967年の広島以来、数多くの都市圏で実施され都市交通計画の策定に活用されてきた。しかしながら、人口減少時代においては、交通施設整備に対するニーズは量的拡大から質的向上に変わりつつあり、また、投資の効率化や交通管理面での工夫など多面的な検討が求められるようになってきており、調査についても再構築が求められている。さらに、近年では、プライバシー意識の高まりによる回収率の低下などから、調査方法自体についても課題となっている。そこで、本研究では、現地調査及び文献調査により現在の仏独米英のパーソントリップ調査の実施状況について明らかにし、日本と比較するとともに、交通機関分担率データの比較を行う。また、これらの都市内交通実態データに関する最近の活用状況について、イギリスやEUの最近の取組を紹介する。最後に、比較・分析の結果を踏まえ、冒頭で掲げた課題への対応の方向性についてとりまとめた。