2007 年 42.3 巻 p. 607-612
東京都は大都市の震災対策として,都市復興図上訓練を1998年から毎年実施してきた.市古ら(2006)はこの訓練実態を事前復興の視点から報告しているが,復興計画形成技法として改善の余地が残されている.そこで本研究では2006年度に事前復興の視点から,改善された点を整理し,訓練成果と参加職員への意識調査から,訓練の現状を分析した.その結果,2005年度訓練と比較して,第1回のまちあるきで整理した空間的脆弱性を踏まえて被害想定図を作成し得たこと,復興まちづくり計画策定手続きにかかるグループ・クエスチョンや訓練時の専門家助言を通して,住民との関係性を踏まえて,84条建築制限,復興地区区分方針,復興まちづくり計画案素案をまとめていくといった訓練の改善効果を論じた.