抄録
本稿では,インターネットを用いて平成18年8月時点での津波ハザードマップの公開状況調査の結果を報告した.津波災害経験の高い太平洋沿岸地域の津波ハザードマップの作成は,都道府県による公開を中心に,市町村も進行しつつあり,平成16年と比較して公開率は約3倍に上昇していた.また津波ハザードマップの中でも,防災マップが全体の3割を占めており,このような理由から,今後は防災マップとして,複数の災害情報とともに津波情報が掲載される形態が増加していくと考えられる.避難活用情報・災害学習情報に共通して,各情報の津波ハザードマップ全体での整備状況は20~30%と低かった.今回調査した津波ハザードマップの情報は,沿岸部の地形情報など津波対策の資料として重要な知見を含んでいる.島国である我が国にとって,これらの情報は貴重な知的資源であり,総合的な津波対策をするうえで,また海外に日本の津波防災技術を提供していく上での重要なデータになり得る.