都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
Print ISSN : 0916-0647
ISSN-L : 0916-0647
持続的・段階的整備を可能とするための密集市街地整備制度に関する研究
横浜市「いえ・みち まち改善事業」を対象として
金 冑錫高見沢 実
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2007 年 42.3 巻 p. 661-666

詳細
抄録

密集市街地の整備のためには小さなプロジェクトの積み重ねが必要である。住民の発意を促すと共に、状況変化に伴う部分的な計画の見直しは勿論、計画の実現以後の維持・管理、そして次のレベルの改善計画に至る、持続的に地域をマネジメントしていく住民組織が必要であり、その立ち上げや活動を誘導する必要もある。その観点で横浜市の「いえ・みち まち改善事業」(2003年)の運用実態を把握し、密集市街地における進行管理型の住環境整備計画づくりのあり方を考察する。「事業」の視点で個別事業単位での、あるいは段階的な事業方式の評価と課題・成果の抽出を行う。「計画」の視点で「住民参加による計画づくり」、「住民と行政の協働による実践」、「計画の更新」等、従来の整備計画・事業計画策定とは異なる面を中心に、計画プロセス・現状の策定内容を把握し、新たな取り組みの評価を行う。「持続的な住民活動」の視点で住環境の持続的な維持・管理やグレードアップを行う住民活動の仕組みづくり、それを支える制度運用の特徴を考察し、住環境を生み出す主な主体は居住民自らであるという認識で、住民による持続的な居住地マネジメントの可能性を確認する。

著者関連情報
© 2007 公益社団法人 日本都市計画学会
前の記事 次の記事
feedback
Top