抄録
わが国の教育施設は,戦後の年少人口激増を受けて設置されたものが多いため,教室数は当時考えうる学生数のピークに備えて設置された.ところが,現在のような年少人口の減少局面では,空き教室の増加,休校あるいは廃校などの現象が生じている.これらの施設運営は,国や地方自治体の大きな負担となっており,今後効率的な行政運営を進めるためにも,学校統廃合問題への対応は不可避である.そこで本研究では,学校の統廃合計画策定の際に,児童・生徒に与える影響を歩行負担と廃校となる学校の資産価値を分析し,児童・生徒の負担の最小化と経済効果の最大化のバランスを目指す学校統廃合・学区編成モデルを構築する.また,ケーススタディとして自治体にモデルを適用することによって,最適な学校統廃合・学区編成計画案を示す.