2007 年 42.3 巻 p. 925-930
本研究では,歩道整備率など都市環境が異なる4つの住宅地の通勤者を対象とした通勤行動と健康に関するアンケート調査を実施し,BMI,被験者の通勤時と非通勤時における身体活動量,ライフスタイル,調査対象地区の歩道整備率の相互関係に関する検討を行った.本研究の主な結論としては,(1)通勤交通手段利用状況,身体活動量,BMIの相互関係を検討し,通勤交通手段が後者に与える影響を確認した,(2)歩道整備率の異なる都市環境と通勤時の身体活動量との相互関係は認められたものの,非通勤時の身体活動量との相互関係は認められなかった, (3)「徒歩が好き」因子によって示されるライフスタイルは,通勤交通手段と相互に関係していることが確認できたものの,身体活動量との間には明確な関係が認められなかった,また,「徒歩が好き」因子と歩道整備率で表される都市環境との間には,居住年数5年未満の場合のみ相互関係が認められた,つまり,ライフスタイルとして徒歩が好きな人が「歩きやすい」地区を選択して住むようになった結果を表していると考えられる,といった点が挙げられる.