抄録
大阪市内の代表的な住居コンバージョン店舗の集積地区である中崎町エリアを対象に、来街者への空間印象評価のアンケート調査を実施した。さらに、調査結果から、空間要素と空間印象および、エリアに対する総合評価との関係を分析により明らかにした。これらの調査および分析から、住居コンバージョン店舗集積地区における空間の特性として、エリアのなかに従来から存在する生活空間や商業、公共空間などの要素と、新たに増え始めた住居コンバージョン店舗とそれに付随する様々な要素が、エリア内に共存し、それぞれの良さが同じスケールでバランスよく機能することによって、エリアの魅力をもたらしているという知見が得られた。また、「古さの中にある新しさ」や「都会の中の下町の風景」といった、都市的で大きなスケールの空間とすぐ隣り合わせのところに、昔からのスケールで存在する街並みがあるという対比的な特徴に気付くことで、より、エリアに対する親しみやまとまりといった印象を与え、総合評価を高めているということが明らかとなった。