近年、公営住宅の建替えにおいては、住民参加による取り組みが全国的に試みられているが、多大な時間と労力等が必要とされることから、その事例の普及には時間が掛かっているのが現状である。そこで本研究は、北九州市で行われた公営住宅建替え3事例を取り上げ、住民参加によるワークショップや間取り型別供給の多様化とその効率的な実現方法を考察することを目的とする。その方法は、住民参加型ワークショップの構成と多様化を参加率と開催回数から分析し、結果、間取りや部屋決めなどの個人がより強く関心を持つ事柄と、団地全体に関わることを関連させて構成することが有効であることを明らかにした。また、間取りの変遷を整理分析し多様化したタイプ別間取り構成プランの類型化を行い、結果、2DK和室タイプと3DK南洋間タイプが中心に検討されたこと、住民の支持を受けながら和室と洋間の変更で対応していることと、続き間や住戸の回遊性が支持されていることを明らかにした。この事例を通じて、今後の住民参加による公営住宅等建替えの普及に向けて、多様化しがちなワークショップや間取り型別供給における効率的な住民参加の実現方法を示したといえる。