2009 年 44.1 巻 p. 102-107
本研究は、京都市中心部の主要幹線道路沿いを対象に、簡易屋外広告物の沿道設置状況を目視調査により把握した上で、近隣店舗と同業店舗による準拠集団の違いを考慮した商業事業者の沿道設置行動をモデル化することにより、準拠集団の違いが沿道設置状況に対する評価や沿道設置行動にどのような影響を及ぼしているのかを検討した。その結果、京都市中心部の北部や西部に位置する幹線道路で、簡易屋外広告物の沿道設置数が多く、また沿道設置数の少ない東部や南部に位置する幹線道路でも、設置店舗の多くが自店舗敷地内ではなく沿道を選択して設置していることを明らかにした。続いて、商業事業者の沿道設置行動に関するモデル分析により、個人属性や心理的要因のみならず、準拠集団との相互作用も影響要因として大きく寄与しているとともに、準拠集団として近隣店舗よりも同業店舗のほうが、沿道設置に対して強い影響を与えることを定量的に明らかにした。