抄録
欧州ランドスケープ条約は、実在するランドスケープの良否状況に関わらず、欧州大陸全域を条約で取り組むべき対象と規定し、一定の特性を持った一つ一つのランドスケープを積極的に保全・管理・計画するランドスケープ政策を施すとしている。この政策決定のためには、ランドスケープ特性評価が先行的に行われるべしとし、ランドスケープを区分・評価するための指標や基準は各国・地域の実情に任せながらも、この共通の手法・プロセスを各国が具体的に実施することを定め、その状況を定期的にモニタリングしている。この取り組みをヨーロッパという多国間連携で行う意義は、(1)各国・地域の具体的な取り組みを促すこと、(2)取り組み状況が共通の基準で比較・把握できることにあり、結果的に、(3)条約の実現、つまり地域ランドスケープ特性に合わせた国土空間計画を促し、欧州全域の持続的な発展とランドスケープ質の向上に繋がることにあろう。