都市計画論文集
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鉄道跡地の実態と再活用状況に関する研究
線路跡地と駅跡地の土地利用転換状況
野尻 彰大沢 昌玄岸井 隆幸
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ジャーナル オープンアクセス

2009 年 44.3 巻 p. 151-156

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抄録

鉄道廃止に伴い発生した線路跡地は、細長い特殊な形状であるため、一般にその有効活用は困難なことが多い。しかしながら近年、低炭素社会を目指す観点から過度の自動車交通を抑制し、公共交通への転換を促進する上でも、線路跡地を再度見直し、公共交通の一部として再活用する検討も必要であると考えられる。また駅跡地も跡地といったマイナス的なイメージで捉えるのではなく、まち再生及び活性化の種地として再活用することが必要である。そこで本研究は、鉄道廃止によって発生した線路跡地を確認するとともに、線路跡地と駅跡地の土地利用転換の状況をアンケート調査し、その活用実態を把握することを目的とする。その結果、線路跡地は道路として再活用されているものが多かった。その一方で3件に過ぎないが線路跡地を公共交通の一部として再活用した事例も抽出され、現在も活用されている富山地方鉄道射水線跡のバス専用道路について、再活用に至った経緯と運用状況を確認した。駅跡地は、公益施設として整備されたものが一番多かった。それ以外には、駅跡地を新たなまちの拠点として道の駅や観光拠点に再整備し、賑わいを取り戻している事例が抽出された。

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© 2009 公益社団法人 日本都市計画学会
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