抄録
この研究は、住民が発案する都市計画のうち、2002年に制度が設けられた「地区計画の決定を申し出る制度」を対象に行った。「地区計画の申し出制度」は、市町村の条例で、運用の方法を定め、住民の発意を、都市計画として決定できるものである。しかし、市町村における条例の制定は、進んでいるとは言い難い。この大きな理由は、都市計画提案制度によって、条例が制定されなくとも、住民が都市計画を発案することが可能となったことにあることが分かった。しかし、住民組織の設立や住民によるまちづくり計画作成を市独自の政策として定め、これを受けて、法的拘束力のある都市計画として決定する仕組みとする条例を定めている例が見られる。これは、住民によるまちづくり活動と法定都市計画の関係のあり方を考えるヒントになるものと考える。