抄録
本稿では、移動途中に施設に立ち寄ることができる需要を最大化するタイプの施設配置問題を対象とし、施設規模の概念を取り入れた一般化モデルを提案する。規模が大きく魅力的な施設ほど大きな迂回コストを負担してでも立ち寄る利用者行動に着目する。これを施設の設置側から眺め、需要獲得力が大きく設置コストが高い大規模施設と需要獲得力が小さく設置コストが安い小規模施設を、資金制約下でどのように選択し配置するかという問題を提案する。規模が2種類の場合の整数計画問題としての定式化を示し、様々な状況設定のもとで最適解を比較する。道路網を用いた分析結果から、同一資金で一種類のみの施設を配置する場合よりも良い解が存在することが確かめられた。また最適な大施設と小施設の組み合わせと配置はネットワーク形態等に複雑に依存するため事前に予想することは困難であることが確認され本アプローチの有用性が示された。