抄録
駅が都市の主要な交通インフラで「交通拠点機能」を担うのに対して、駅舎上層や隣接棟に設けられる駅ビルは商業・業務機能等を担っている。小田急線成城学園前駅の駅ビル建て替え計画を事例とする本研究では、従来型の「商業機能」に加え新たに「生活関連機能」を担いさまざまな地域・社会ニーズに戦略的に対応し、それによって『地域拠点機能』を備えた都市インフラとしての再生をめざした点に着目している。コンパクトシティーなど集約型の都市構造では、「駅」を生活圏の中心におき複合的機能を持たせたものも多い。当該事業では、『地域拠点機能』を備えた地域貢献型・提案型駅とするため、(1)公共空間の創出、(2)環境配慮、(3)景観配慮、(4)賑わい創出、(5)暮らしのサポート等、新たな地域・社会ニーズに対してどのような対応が可能か、すなわち駅ビルの存在価値や機能性の組み立て直しはどうあるべきか、という戦略的視点に立っての計画について分析している。同時に、論文では事業における公民パートナーシップ、また都市開発における『企業の社会的責任』CSR:Corporate Social Responsibilityのありかたについても、同時に論じている。