抄録
本研究は、約半世紀にわたり策定されてきた東北開発促進計画の役割と計画内容等の変化等を整理し、広域計画の役割等を明らかにすることを目的としている。法制度制定に関する国会議事録等を対象に文献調査を行い、東北開発促進計画の役割が、財政上の特例を得た公共事業の投資計画から、全国総合開発計画の開発構想等を地域で展開する計画へと変化し、第五次計画で東北独自のビジョンを示したこと、計画内容も産業振興と施設整備に特化した開発重視の内容から居住環境の整備、環境保全、住民参加等が含まれた総合的な広域計画へと変化したこと等を明らかにした。また、東北開発促進計画にみる広域計画の役割が、広域全体を俯瞰して重点的に実施すべき政策や事業を提示、実施すること、全国計画と連携して国土の中での地域特性を明確にし、発展方向を示すこと、様々な主体から意見を吸い上げて広域で実施すべき課題に対応することにある点を明らかにした。