2010 年 45.3 巻 p. 199-204
高架上を緑ある公共空間として再生したニューヨーク・マンハッタンのハイラインHigh Lineでは、主に非営利団体Friends of the High Line(FHL)を中心とした活動により再利用案が作成され、連邦政府や市当局に受け入れられた結果、市とFHLが共同して再生を実現させた経緯がある。本研究では、ハイラインの公共空間としての再利用案の形成過程を、一次資料を基にして、主体の関係、受け入れられたFHLの計画案の具体的内容、FHLによる効果の示し方という観点から明らかにすることを目的とする。その結果、FHLを中心とした再利用案構築の過程において、他の非営利団体との連携により地区再生を意図した再利用案を作成し、それが市議会と新市長に受け入れられたこと、このことによって、計画主体としての役割をFHLが担うこととなり、案の具体化と効果の提示を行ったことを明らかにした。