2011 年 46 巻 3 号 p. 235-240
全国で都市計画道路の見直しが進められつつあるが、地球環境負荷の軽減や社会的コストの抑制などの今日的課題への対応や、計画として長期的に残る路線の建築制限の問題は必ずしも解決されていない。本稿では、これら問題を計画手続の観点から分析し、既存法制度を前提とした対応策を提案し、さいたま市での事例を通じて我が国への適用方法や課題を検証した。結論として、上位の都市形成戦略を実現するための道路ネットワーク計画(下敷き計画)を位置づけ、これと都計道網をリンクすることで、都計道網の計画論拠の時点更新を可能とする仕組みを提案した。また、都市形成戦略のレベルにおいて、交通や土地利用など政策分野間を調整し、環境負荷や社会的費用を適正化するための計画枠組みを構築した。