2011 年 46 巻 3 号 p. 349-354
本研究では、2国で構成される世界経済を対象として、多国籍企業による組み立て過程のアウトソーシング行動を通じた国際分業・国際貿易パターンを分析するための一般均衡モデルを提案する。2国経済は、それぞれ労働生産性が異なっている。多国籍企業も労働生産性が異質であり、グローバルな独占競争市場において差別化された財を生産・販売する。多国籍企業は、両国における労働生産性の差異に基づいてアウトソーシング先を決定する。その結果、両国間における貿易パターンが内生的に決定される。その上で、国際的社会資本の整備による輸送費用の変化が、多国籍企業の生産拠点配置、貿易パターン、および両国の家計厚生に及ぼす影響を分析する。