本研究は、移動の限界距離を考慮した生活環境施設の評価モデルを構築することを目的として、まず、住民の立場に立ち、施設利用における移動距離に着目し、住民が利用施設まで移動しても負担を感じない距離を限界距離と定義し、アンケート調査に基づいてこの限界距離を推定した。次に、限界距離と現状の施設利用における移動距離を用いて生活環境施設の評価モデルを構築し、利用施設別、年齢階級別、地区別に生活環境施設の評価を行った。その結果、ケーススタディとした徳島市では、どの施設においても、年齢が進むに従って、評価値が低くなる傾向がみられた。中心市街地区では、医療施設における評価値は最も低く、事務的施設の評価値が高いことがわかった。また、歩いて暮らせるまちづくりを行うための参考距離として、8割の住民が移動に負担を感じない距離は1,000m以内となっていることがわかった。