抄録
我が国では、少子高齢化の進展、人口減少社会への突入と大きな人口構成の転換期を迎えている。同時に、都市計画や交通計画はコミュニティ単位での検討が重要度を増してきており、基礎的情報である精度の高い人口フレーム設定が小地区レベルでも求められている。本研究では、小地区レベルの将来人口予測手法として、各地区の住宅地の遷移過程と世帯のライフステージの影響を考慮した社会移動の推計手法を提案する。具体的には、自己組織マップを用いた住宅地遷移過程のフェイズの設定、社会移動におけるライフステージの潜在的要因を因子分析にて抽出し、その因子得点の時間的推移と住宅地遷移過程の状態変化を同時に考慮したマルコフ転換モデルによる推計を行う。提案手法を大都市周辺地域の3次メッシュに適用した結果、従来手法よりも高い予測精度を持つことを確認した。