都市計画論文集
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準都市計画区域の指定実績と法制度上の問題点
我が国の都市計画法制度の根本的な問題点の所在
川崎 興太
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2012 年 47 巻 1 号 p. 50-61

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抄録

本研究は、平成12年に創設された市町村指定の準都市計画区域と平成18年の法改正後における都道府県指定の準都市計画区域の実績を分析し、都道府県の準都市計画区域制度等に関する認識を明らかにした上で、九州北部3県による構造改革特区の提案とこれに対する国土交通省の回答をもとに準都市計画区域に関する法制度上の問題点について考察することを通じて、準都市計画区域の指定実績と法制度上の問題点に関する知見を得ることを目的とするものである。本研究を通じて、(1) 市町村指定の準都市計画区域は、4区域(4市町村)の実績にとどまったが、都道府県指定の準都市計画区域は大規模集客施設の立地制限を主たる目的とするものを中心として44区域(9道県)となっていること、(2) 都道府県は、少なからず「土地利用規制が課されるばかりで、都市計画事業が行われないことなどから、住民の理解を得ることが困難であること」や「用途や規模の違いにかかわらず接道義務規定等の集団規定が一律的に適用され、既存不適格建築物などが発生すること」などを準都市計画区域制度のデメリットとして認識していること、(3) 準都市計画区域に関する法制度上の問題点は、(1)都市計画区域外における原初的な都市的土地利用規制の不在、(2)市街地外において緩くなる都市的土地利用規制の論理構成、(3)都道府県の全域を対象とした都市計画に関する基本方針の欠如にあることが明らかになった。

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© 2012 公益社団法人 日本都市計画学会
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