2012 年 47 巻 3 号 p. 433-438
本研究は、市町村合併により開発圧力差の著しい広大な市街化調整区域を抱えることとなった浜松市を対象として、開発許可制度運用の現状や課題を明らかにすることを目的とする。浜松市では、集落系の開発に対して主に大規模既存集落制度(一般集落、特例集落)と市街地縁辺集落制度、一般の市街化調整区域の4種の開発許可制度運用を行っており、これによって地域別の開発事情に対応している。大規模既存集落制度は既存集落の衰退防止を目的としており、一定の効果が見て取れる反面、市街化区域の縁辺で一定の基盤整備があることを条件に市街地並みに住居系開発を認める市街地縁辺集落指定区域では、開発・建築行為が非常に高レベルにあり、農地との混在の進行や開発敷地面積低下の進行によって、居住環境や営農環境の悪化が懸念される。多様化する市街化調整区域の開発事情に柔軟に対応した点は評価できるものの、開発需要地でのスプロールが懸念されることを明らかにした。