都市計画論文集
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開発権移転を伴う郊外住宅地の計画的撤退手法に関する研究
横浜市を対象として
武田 祥平村木 美貴
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 47 巻 3 号 p. 487-492

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抄録

我が国では、人口減少と高齢人口増加の観点から、コンパクトシティの構築が求められている。コンパクトシティ実現に向けて国土交通省は、郊外住宅地の計画的な撤退と集約拠点整備を一体的に進めるツイン戦略を提唱している。その財源確保について、同戦略は、開発権移転制度(TDR)を取り入れることを想定しているが、現時点では具体的なスキームの設計や実現可能性の検証が行われていない。そこで本稿では、郊外住宅地撤退スキームと、TDRとの連動による事業費の捻出手法の可能性を、横浜市でのケーススタディより明らかにすることを目的とする。結論として、本稿で提案した撤退スキームにより、行政に金銭的な負担を強いることなく撤退事業を実行することが可能であること、撤退後の用地は大規模太陽光発電事業用地としての転換が有効であること、の2点が明らかになった。しかしながら、都市撤退を実現するにあたっては、集約拠点の割増床の需要喚起と、撤退地の土地所有者の合意形成、が課題と考えられる。

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© 2012 公益社団法人 日本都市計画学会
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