2012 年 47 巻 3 号 p. 835-840
都市計画道路の整備の進捗は、各地方公共団体の財政事情等に依拠するため、長期未着手都市計画道路は、優先的に着手すべき路線の整備が完了し、その後予算が確保できるようになるまで未整備のままとなるが一般的である。しかし近年では、長期的に事業化の見通しが立たない路線に対しても、道路空間を確保するための様々な整備方策が検討されている。当該整備方策を活用し得る路線を抽出するためには、都市計画道路沿道に道路空間として活用し得る空間が存在するかどうか等の都市計画道路と沿道土地利用との関係が重要となるが、膨大な未整備路線の中からこれら条件に適合しうる路線を抽出することは非常に困難であった。本稿では、未整備都市計画道路の沿道における土地や建物の特徴から、実質的に道路空間を確保することが可能な路線とその延長を把握するために、都市計画基礎調査を活用した分析手法を構築するとともに、東京都区部を対象としたケーススタディを通じて分析手法の妥当性を検証することを目的とする。