都市計画論文集
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市街地の住環境の向上にむけた農業用水路の活用に関する研究
尼崎市の農業用水路の行政と住民団体の利用・管理に着目して
田中 陽朗山崎 義人赤澤 宏樹中瀬 勲
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2013 年 48 巻 3 号 p. 399-404

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抄録

 我が国の都市圏では、住宅需要の高まりに田畑が充てられ、敷地の細分化を繰り返しながら市街地が拡大していった。そのため市街地では建て詰まりと自然環境の不足が深刻になっており、過密な市街地において、オープンスペースを確保し、市街地の住環境を改善していく必要がある。ところで、依然として都市営農は衰退傾向にあり、近年、都市の農業用水路の新しい使い道が検討され始めている。また、市街化による農業者の減少によって、農業用水路の管理が十分に行き届かなくなっている。このような中で、不良ストックとなりつつある農業用水路が、環境活動の場として市街地におけるオープンスペースとなり、市街地の住環境の向上に寄与するのではないかと考えた。そこで本研究では、市街地の農業用水路網の利用・管理の現状と住民団体による環境活動の展開方法を捉え、それらの関係を明らかにすることを目的とした。そしてその結果を踏まえて、考察を行った。その結果、市街地の農業用水路を環境活動の場に活用するためには、農的利用との関係性と、水利用の可能性が重要となっていることが分かった。

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© 2013 公益社団法人 日本都市計画学会
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