2013 年 48 巻 3 号 p. 405-410
地方都市郊外に立地する大規模小売店は、広域な商圏からの自家用車利用による来店客のために、大規模駐車場を備える。しかしその内部における歩車の交錯に対する対策の検討は必ずしも十分ではない。店舗の実情からコストのかからない対策や、多少のコストがかかってもそれを重点的・限定的に実施することが現実的であるが、そのなかでも効果的な対策が考えられなければならない。本研究では利用者の意識での安全性とそれに関連する意識の相互関係に着目し、それらの意識構造を明らかにした。横断歩道の無いところで横断することの危険性の意識に影響を及ぼす要因と、総合的な安全性の評価に影響を及ぼす要因との違いを比較することにより、現実に多少の遠回りであっても横断歩道を利用して危険感を小さく抑えている利用者の実態などを明らかにすることができた。また、これらの利用者属性別に利用者が望む対策の内容を分析した結果から、横断箇所での速度抑制が利用者満足度からも重要であり、これを箇所限定で重点的に実施することの有用性などを考察した