抄録
近年、我が国では平成23年9月の警察庁の通達を契機としてゾーン30の整備が推進されている。迅速な推進に重点が置かれているゾーン30は、全国的な普及には至らなかった住居系地区等におけるコミュニティ・ゾーンの形成事業を踏まえ、住民の同意が得やすい地区に柔軟に設定されるように配慮されている。しかし、その地区が重要な整備目的と考えられる歩行者や自転車事故の削減が期待できる地区であるとは限らないといった課題も生じることが想定される。本研究は愛知県豊田市をケース・スタディとして、地区特性の分析を通じて歩行者・自転車事故の発生率と住民側からのゾーン30導入意向の関係性を明らかにし、整備推進の基礎資料を提供することを目的とする。