都市計画論文集
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人口減少局面の都市計画マスタープランの総合性についての一考察
公益的施設の統廃合・再編のケーススタディ
瀬田 史彦
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 48 巻 3 号 p. 609-614

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抄録

 本論説は、人口減少局面における都市マスの総合性について、公益的施設の整備・統廃合・再編との関係に注目して検討し、自治体が都市の将来像を総合的に提示するための制度のあり方を論じる。まず都市計画制度における公益的施設の位置づけについて、法や都市計画運用指針、既存の論説等から明らかにする。次に近年策定された都市マスにおける公益的施設の記述内容の分析を行う。第三に公益的施設の統廃合・再編の取組の一般的な流れを既存文献を踏まえてレビューし、都市マスとの関係について論ずる。第四に統廃合・再編の取組で先進的な秦野市と浜松市を取り上げ、都市マスとの具体的な関係について分析し論ずる。以上を踏まえ、自治体が「都市の将来像」をどのように示すべきか、またそのために都市マスや計画制度が具備すべき要件を結論として論ずる。以上の検討から、都市マスで公益的施設の方針がほとんど記述されず、また人口減少局面に対応した公共施設再配置の計画も都市マスと具体的な関係を持っていないことが明らかになり、都市マスの制度的意義の喪失について懸念が示される。

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© 2013 公益社団法人 日本都市計画学会
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