2014 年 49 巻 1 号 p. 65-70
本研究では,ジャカルタ中心部に位置するカンプン・バリを対象として,屋外空間利用の利用実態,利用される空間の特徴と屋外空間利用の効用について考察することを目的とした。対象地内にインターバルカメラを設置し,5分間隔で屋外空間を撮影することで住民の屋外空間利用状況を調査した。次に3D-CAD対応型熱収支シミュレーターを用いて現地熱放射環境を評価した。さらに住民にアンケート調査を実施し,屋外空間を利用する頻度と地域コミュニティへの参画について分析を行った。分析の結果,滞座者が利用していた場所のMRTは屋外空間全体のMRT分布の中でも値の低い領域に分布すること,昼の暑熱環境下ではより冷涼な熱放射環境の場所において利用が増加すること,冷涼な熱放射環境を有する場所を地区内に多く整備していくことで住民の屋外空間利用を誘導することができ,かつコミュニティ活動への参加頻度の増加を誘導し得ることが示唆された。