都市計画論文集
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北海道殖民都市における『山当て』の実態に関する研究
後志地方の6町村を対象として
久保 勝裕安達 友広菅野 圭祐佐藤 滋
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2014 年 49 巻 3 号 p. 759-764

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抄録

我が国の城下町都市などでは、道路の正面に山の頂が位置している眺望が多く見られる。こうした「山当て」と呼ばれる現象は、明治期に建設された北海道の殖民都市でも確認されている。しかしこれらが意図を持った計画や手法であったことは証明されておらず、目視で確認されているこうした現象を、精密な計測によって実態を解析した研究もない。本研究では、殖民都市を対象に、GISとGPSを用いた精密な計測によって山当ての実態を検証し、山当ての意図を考察した。分析の結果、6町村で確認された12本の山当ては、ライン間角度は0.336~2.814度、仰角は2.417~14.579度の範囲にあることが確認された。これらの山当ての意図は、第一に、独立峰である羊蹄山周辺においては、農耕グリッドの基準線として、2つの山への直行軸として計画された。そして、その軸上に市街地を設置し、市街地からも対象山を眺望できる構造としたと考えられる。第二に、農耕グリッドに規定されない市街地において、市街地グリッドの基準線として計画された。近世集落と連続する都市軸として延伸させる、寺社等を設置して景観軸を形成する、等の工夫がなされたと考えられる。

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© 2014 公益社団法人 日本都市計画学会
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