抄録
本稿は地理空間情報の位置誤差が面積に与える影響を取り上げる.従来,地理空間情報上で多角形の面積の期待値は不偏推定量であるとされてきた.しかし,既存の関連研究での論証が不十分であることがあきらかとなったため,基礎理論的な検討を行うものである.2章において関連研究のレビューなどを中心に,位置誤差が面積の期待値に与える影響について,基本的な認識と地理空間情報の実態について確認し,関連する学問分野や実務での取り扱いなどについて概観する.3章で本稿で用いる確率モデルについて積分幾何学により定式化を行い,地理空間情報上で平面図形が観測される場合の確率と面積の期待値について一般式を提示する.4章では,わが国の地理空間情報の実態に即して,基準となる公共測量作業規程と基盤地図情報を想定して数値計算を行う.算出された結果から,誤差が面積に与える影響は実務上問題がないことが示唆された.最後に5章で結果をとりまとめ,今後の課題などについて述べる.