本研究の目的は,建物ノードに容量制約が付された都市モデルにおいて,通勤移動コスト,業務移動コスト,不快度コストを考慮した職住分布の均衡配置および最適配置を理論的に求める数理モデルを構築し,実空間に展開して各都市の職住形態について分析することである.具体的には通勤移動コスト,不快度コストおよび不快度コストの均衡配分問題が数理計画問題と等価であることを明らかにし,また均衡配分問題および都市モデルおけるコストの総和を最小化するシステム最適配分問題が非凸2次計画問題となることを明らかにした上で,線形緩和法を用いて線型計画問題に帰着することを示す.実証分析例として日本の10都市に着目し,実空間データから各都市における就業地と居住地の容量制約を算出し,都市内領域を再統合した上で領域間・領域内それぞれの距離を導出する手法を記述する.その上で各都市におけるパラメータの比較や配分モデルの違いによる都市の変化について記述する.